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本の紹介、映画の感想・・・好きなことをちまちま書いています。

「怒り」のパワーって底知れないし体力消費が異常。【映画感想/ネタバレあり】

怒るのって体力勝負

 

こんにちは。芳桐です。

 

 いきなりですが、"怒り"って、生命力に直結してるなぁと思いますが皆さんはいかがでしょうか。

 

不満や違和感と切っても切り離せないのが人の世といいますか…そういうのを無理に受け入れようとしたり抑えようとすると精神的に萎縮する一方だと思うんです。

 

そこで怒ってみましょう。

 

1人の空間でひたすら大声でぶちまけたり冷静に理路整然と相手に直接物申す…なんでもいいです。そうするとなんか目の前がクリアになりませんか?このクリアになった事が、生命力に直結する"怒り"かなと思っています。体力は消費しますが大切なことです。

 

前置きが長くなりましたが、ここから感想です

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引用元:http://eiga.com/movie/81486/

 

劇場予告を観た時から目をつけていましたが、本当にすごかったです。とにかく役者さん達の演技が素晴らしい。エンドクレジットあたりで急に涙がボロボロ流れ、それも終わる頃には放心状態でした。

 

今回は簡単なあらすじもちゃんと書いていきます。公式サイトへも是非アクセスしてみて下さい。

www.ikari-movie.com

 

あらすじ

東京都八王子市で夫婦殺害事件が起きる。現場には、犯人が被害者の血で書いた「怒」の文字。被疑者・八神一也は逃走、1年が経過していたが未だに行方が分からずにいた。そこで警察はテレビで特集番組を放送してもらい情報を収集することに。

その頃、千葉、東京、沖縄に謎の男性が現れた。

 

[千葉編]

家出をしてから数ヶ月。新宿・歌舞伎町の風俗店で働いていた槙 愛子(宮崎 あおい)の元へ父・洋平(渡辺 兼)が迎えに来た。ひどく疲れきっていた愛子をすぐさま実家のある千葉の港町へ連れて帰った。

愛子が家出した後、田代と名乗る男が洋平が働く漁港で働いていた。暗い印象はあるが真面目でよく働く田代に、洋平は少し信頼していた。しかし彼は各地を転々としていて素性が知れない男だった。

そんな田代に愛子は徐々に惹かれていた。しかし洋平は2人を素直に応援することができなかった。

 

[東京編]

ある夜、ハッテン場へやって来た藤田 優馬(妻夫木 聡)は、部屋の隅で膝を抱えていた1人の男(綾野 剛)に目をつけ情事に及ぶ。その後、2人はその場を離れラーメン屋へ立ち寄る。名前も知らない男へ興味を持った優馬は、男へ住所や名前などの質問をするが、男は答えず、1年前の夫婦殺害事件の特集が流れているテレビを見上げた。しばらく見てからその男はボソボソと話し始めた。直人と名乗ったその男は28歳、無職、友人の家を転々としながら職を探していた。行く所が無いのならと直人を自宅へ招いた優馬。それから直人は優馬の自宅に住み着くようになる。

直人は、持ち物が極端に少なく携帯電話すら持っていなかった。職も無く、今まで何をしてきたのかも分からない。それでも優馬は直人にどんどん惹かれていた。

 

[沖縄編]

母の都合で沖縄に引っ越してきた小宮山 泉(広瀬 すず)は、同級生の知念 辰哉(佐久 本宝) に頼んで無人島へ連れて行ってもらう。島に着き、1人で散策していたところに1つの廃墟が現れた。恐る恐る廃墟に足を踏み入れた泉の頭上に人影が現れた。人影の主は田中と名乗るバックパッカーだった。数日前から廃墟に住み着いていた田中は、ここにいることは誰にも知らせないでほしいと立ち去る泉に伝えた。次の日、再び例の島の廃墟へ向かった泉。田中へ興味を惹かれていたのか、それ以来2人の距離は縮んでいった。

田中は日雇い労働をしながら各地を転々としているという。

ある日、泉は辰哉に誘われ沖縄本島へデートへ来ていた。その夜、2人で商店街を歩いていると偶然田中と出会ったのだった。

 

 相関図がこちら

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 引用元:http://ciatr.jp/topics/112990

 

ざっくりまとめるとこんなかんじです。

千葉、東京、沖縄、3つの舞台でストーリーは進んでいきます。

 

 

全身全霊の演技

先にも書きましたが、映画を観てて初めてどうしようもなく涙が止まりませんでした。静かな怒り、激しい怒り、衝動的な怒り、フツフツと湧き上がるような怒り…。多彩な怒りを見事に表現していました。

 

印象的な怒りは、泉のラストの叫びでした。あの叫びは怒りの他にも色んな感情が混ざり合って出た声なんでしょうが、あの叫びから感じた生命力は確かなものだと思いました。

 

怒り以外の演技でもそれぞれの息遣いや身体の動きや表情にはすっかり魅せられてしまいました。1つだけ。演技が素晴らしい故になんですが、泉のレイプシーンが未だに頭から離れません。何もかも非常に生々しい。苦手な人は要注意です。

 

ミステリーだけど犯人捜しがメインじゃない

ミステリーではありますが、重点が置かれているのはドラマシーンです。「信じるとは」この点が核です。

 

もちろん、ミステリーについても様々なヒントやミスリードを誘う情報が入り混じっていて考えるのが楽しかったです。 最後まで誰が犯人か分からないようよく練られてるなぁと思ったら、原作者が途中まで犯人を決めずに執筆していたようで。なるほど、それじゃあすぐには分からないです。

 

話は「信じることに」戻りますが…。

「人を信じる」それがとても難しいことをこの映画は究極な状況で伝えています。いっそ犯罪者だとハッキリしてたらまだマシなようにも考えてしまいます。しかも、愛した相手や心を許した相手が犯罪者かもしれない。恐ろしいことです。

 

この作品では、信じた人と信じきれなかった人の結末がそれぞれありました。信じることが正しいとは思います。しかし、信じても相手に裏切られることもあります。信じきれずに相手を傷つけてしまうこともあります。本当に難しいことです。

 

個人的にですが、信じて裏切られるよりは信じきれなかったことを悔やんだりする方が、ずっと心に刺さると思います。この映画だと藤田優馬の結末がそれをよく表現しています。

 

まとめ

 5段階評価で「星4つ」です。

演者さんたちの演技や場面転換、カメラワークの工夫もよかったです。ミステリーとしても群像劇としても面白かったです。この監督の李 相日さんと原作者の吉田 修一さんの過去作をいくつか探してみます。

 

 

 

 

ここまでお付き合い頂きありがとうございます。

 

次回は

・シングス・トリート

キングスマン

の感想か

本の紹介を予定しています。

 

それでは!